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『日本歯技』2025年7月号巻頭言

『日本歯技』2025年7月号 巻頭言

危機への備え
―原則・臨機・公平・継続-

 世の中は諸行無常。己の生命はもとより、遠い彼の地の世情もまた各国に影響を及ぼす。特に日本は、単独ではインフラさえ成り立たず、天変地異も多い。「絶対的な安定」などは存在しないのである。
 例えば南海トラフ地震は、今後30年以内に「発生確率80%」とか「首都直下地震は70%」と具体的に提示されている。そして識者は「30年以内とは、30年後を意味していません。いつ地震が起きても不思議はないのです」と付言する。
 しかし実のところ、聴いている側に「来週にも…」とか「今日!このあとすぐ」などの切迫感はない。致し方ない。ヒトとはそういうものであろう。
 地震そのものは、人の力では回避できない。そこで『減災』という考え方が登場した。減災とは、自然災害による被害を最小限に抑えるための事前対策や取り組みを指す。つまり、災害が来ると予想し、「備えておこう」ということである。
 公益社団法人日本歯科技工士会には、公的使命がある。また法人体として、将来世代へ繋げる責務や職員保護義務もある。これらに時間軸を与え、使命の永続性を根幹に災害時に何をするかを計画する。その実行は、一面で社会貢献であり、加えて公平を図りつつ被災会員への扶助も行いたいものである。
 例えば大地震に見舞われた場合、その後の状況は時々刻々と変化する。発生4時間内と4週間後の対策が同じはずはない。日技本部は倒壊しているか、停電期間は…、移動の安全を図れるか…などなど、仮に漏れの無い地震対策マニュアルを作ったとしても、それはあまりにも膨大で読み切れるものではない。ましてや、地震で書架が倒れ、潰され、骨折している被災者がその百科事典のようなマニュアルを役立てるはずもない。
 日技では古くからの協議を整理した。ここでは、新たに『危機管理規程』を設け、「人命優先」「危機の予防・未然化」「被害最小化・迅速復旧」「社会的責務・透明性」の四つを基本とした。時々の危機に臨場する者の中で臨機に指揮できる臨時権限を明確にした。臨機応変・公平・継続的な実行には、後の検証も含まれている。「助ける」を想定しているが、「助けられる」こともあるだろう。天災に限らず、危機に備えたい。
 

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