公益社団法人日本歯科技工士会

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2012年入れ歯感謝デー市民公開講座

 2012年10月8日、アルカディア市ヶ谷(東京・市ヶ谷)において「2012年入れ歯の日・市民公開講座」を開催しました。
 「入れ歯感謝デー」は、入れ歯や差し歯等の歯科技工技術に対する感謝を込めて、公益社団法人日本歯科技工士会が創立50周年にあたる2005年9月に制定した記念日の一つで、10と8で「入れ歯」と読む語呂合わせから名づけられました。
 日本歯科技工士会が公益社団法人へと移行した記念すべき今年、初めて市民公開講座を開催しましたが、暦の計らいか10月8日が祝日の体育の日と重なり、多くの来場者にお越しいただくことができました。

歯型彫刻デモンストレーション
 オープニングアトラクションでは、2012年7月1日に日本歯科技工士会関東地区歯科技工士会連合会主催で行われた第13回歯型彫刻コンテスト「ほるほる」の優勝者、石井ひとみ氏(早稲田歯科技工トレーニングセンター)、仲野晴美氏(新横浜歯科技工専門学校)のお二人により、歯科技工士の一番の基礎となる歯型彫刻のデモンストレーションが行われました。解説および進行は千葉慎太郎氏(ウィング千葉デンタルラボラトリー)が務めました。
 はじめに千葉氏は「歯科技工士は入れ歯やクラウン等を製作するにあたり一本一本の歯の形を覚えなければならず、歯科技工士学校に入学すると歯の形を徹底的に体に覚えさせられるが、仕事に就くと歯の形を追求する行為は次第に薄れて行く。そこで13年前に神奈川県歯科技工士会が「ほるほる」という名前でコンテスト形式の歯型彫刻研鑽の場を設けた」と、歯型彫刻コンテスト発足の経緯を説明しました。
 デモンストレーターはデモを行いながら、作業の進行にあたり石膏彫刻を行う際の器具や道具をどのように使用するか、また歯型彫刻完成までの各ステップに関しての注意点などを説明しました。そして最後に、「歯科医師の指示の下、さまざまな材料を使用し技工物を製作することになるが、歯の持つ複雑な構造を見逃さない目と技術を携え、患者さんが喜ぶ歯の形を再現して行きたい」と今後の抱負を述べました。

 
【写真左】石井氏と仲野氏によるデモンストレーション  【写真右】左から石井氏、仲野氏、千葉氏
主催者挨拶・来賓挨拶
 その後、古橋博美日技会長が主催者を代表して挨拶を述べました。古橋会長は挨拶の中で「入れ歯感謝デー」が制定された経緯を説明し、「厚生労働省や日本歯科医師会、日本歯科衛生士会からご後援をいただき大変うれしく思っている。本日は限られた時間ではあるが、さまざまな催事が予定されている。この日をシンボリックな日として国民の皆さまに歯科技工士を知っていただきたいと思う」と述べ、こうした記念日や公開講座が歯科技工士の認知度向上につながることへの期待を示しました。
 引き続き来賓挨拶として溝渕健一日本歯科医師会常務理事より、「歯科技工物は患者の口腔内の健康回復において非常に重要なものであり、歯科技工士の高度な技術に敬意を表する。歯科医師会は加速する高齢化に対し、患者の食すること、声を発することに向き合ってゆく。そのためのチーム医療はますます重要視されるので、貴会のますますの発展を期待する」とのお言葉をいただきました。
 また、金澤紀子日本歯科衛生士会会長からは、「歯を失って初めてわかる口の機能、食べることの意味、入れ歯の機能の大きさに驚くとともに感心している。入れ歯は顔立ちを整えることもあり、体の一部でもある。この入れ歯感謝デーを機会に、歯科医療が国民にとってより身近なものとなることを期待する」とのお言葉をいただきました。

  
【写真左】古橋会長  【写真中】溝渕健一日本歯科医師会常務理事  【写真右】金澤紀子日本歯科衛生士会会長
被災地ボランティア活動報告
 東日本大震災被災地において歯科技工士の職制を生かしボランティア活動を行ってきた木下勝喜氏(神奈川県技)より、活動内容の報告が行われました。木下氏は神奈川県や東京都の若い歯科技工士の募金活動に感動し、所属県技にて復興支援委員会を立ち上げ、予算が無い中、Tシャツを製作販売して売り上げを活動資金へと充てたそうです。
 活動を始めるまでの経緯や活動内容について木下氏は、「当初は義歯洗浄剤やケースを仮設住宅や個人に送っていたが、多くの報道を通して、さまざまな職業の人が職制を生かした活動を行っていることを知り、歯科技工士として何か出来ないかと考えるようになった。そして、訪問診療立会いによる誤嚥性肺炎の学習や、神奈川県歯科技工士会の義歯刻印事業等のノウハウを被災地での活動に生かせないかと思案した。
 そのような時、個人的に申請していた日本財団への助成金申請が叶い、100万円の助成金を得た。そこで、インターネットで受け入れ先を探し、被災地での活動を開始した。被災地では、現地の歯科技工士の仕事の妨げとならないよう、義歯の新製作は行わないこととし、義歯の清掃や口腔ケア製品の配付、口腔ケア啓発チラシの配付等を行った。義歯の清掃に関しては、超音波で殺菌洗浄、荒研磨、レーズ仕上げ研磨、再度超音波で殺菌洗浄し、名前を貼ったケースに入れて個人に返すという方法を採った」と述べました。
 また、ボランティアに参加した若い歯科技工士の声として、「ボランティアを行い、初めて歯科技工士になって良かったと感じた」「患者さんからありがとうと言われ、歯科技工士は素晴らしい仕事だと思った」「歯科技工士としてのやりがいやプライドを感じた」等の感想が紹介されました。
 最後に木下氏は、これから予測される災害に対し今回の教訓を生かすことの重要性に触れ、刻印事業の展開、災害用の即時義歯の開発等の課題を挙げるとともに、実際に活動した者として講演等を行い多くの人に伝えたいと抱負を語られました。また、全国の歯科技工士会に災害対応チームを設けることを提案されました。
 このボランティア活動に関しては、会場入り口に写真やポスターが展示され、多くの来場者の関心を誘っていました。

 
【写真左】ボランティア活動について発表する木下氏  【写真右】会場入口に展示されたボランティア活動の写真
会長講話・終身会員へバッジ贈呈

 古橋会長より日技の歴史や活動内容等が紹介されました。古橋会長は「1955年9月24日に設立総会が開催され日技が誕生した。以来、医療界初となる生涯研修制度の実施により、歯科技工に関する知識と技術の進歩発展を図るとともに、歯科技工の質の確保と向上に資する事業を推進してきた。広報誌として継続的に発行している『日本歯技』は通巻で520号を数え、最近は東日本大震災被災地支援の一環として、岩手県、宮城県、福島県の特産品等の広告を無償で掲載している」と日技の事業を説明し、さらに「創立から58年目を迎えた今年、日技は公益社団法人として内閣府に認定され、新たな歴史を刻み始めた。今後は公益法人として歯科医療と口腔保健の増進に寄与するための努力をより一層続けていかなければならない」と述べ、公益社団法人へ移行したことへの責任と決意を示しました。
 そして、長年にわたり歯科技工士会とともに歩み、終始変わることなく会を支えていただいた終身会員の方々に敬意を表し、古橋会長が感謝の言葉を述べるとともに、終身会員を代表して佐藤順子氏と小泉利明氏(ともに東京都技)に、新しく製作された終身会員専用バッジを贈呈しました。

  
【写真中】佐藤順子氏へバッジ贈呈  【写真右】小泉利明氏へバッジ贈呈

茂木健一郎氏による特別講演

 脳科学者の茂木健一郎氏にご登壇いただき、「挑戦する脳」という演題でご講演いただきました。随所に著名人やタレントの話を引きあいに出しながら、挑戦する上で重要なこと等についてユーモアを交えて講演されました。
 

日本歯科技工士会新ロゴマーク発表

 本公開講座の企画委員会委員長である衛藤勝也日技副会長より、日本歯科技工士会の新たなロゴマークが発表されました。このロゴマークは、複数の候補の中から会員の投票によって最多得票を得たものです。衛藤副会長はロゴマークのデザインコンセプトなどを紹介した後、「このロゴマークはこれから様々な場所で皆さまの目に触れると思うので、本会とともに可愛がっていただきたい」と語りました。

「TOOTH FAIRYプロジェクト」解説
 日本財団の長谷川隆治氏、山崎美加氏より、「TOOTH FAIRYプロジェクト」について日本歯科技工士会の協力で得た寄付金の使われ方などを説明していただきました。あわせてNHKが制作したドキュメント番組が放映され、引き続きの協力が呼びかけられました。

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