公益社団法人日本歯科技工士会

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『日本歯技』2021年5月号巻頭言



教育と職業

 例外はあるが、あくまで一般論としては高学歴であるほど高収入であると説かれる。明確な理由は導きだされていないが、教育水準が高い者ほど収入が高くなる統計的事実はよく知られている。その一つは、高い教育を受けるほどその分仕事に役立つので、生産性が高くなり、収入に反映されるというもの(人的資本理論)。もう一つは、そもそも教育水準の高さはその者が兼ね備えている能力を示すもので、それにより、より良い仕事に就けるというものである(シグナリング理論)。どちらが正しいか検証することは困難とされているが、導かれる結論は共に同じものである。
 我々の職業に当てはめると、前者(人的資本理論)については、日本歯科技工士会では一貫して歯科技工士の教育年限の延長に取り組んでいる。令和2年3月に出された「歯科技工士の養成・確保に関する検討会報告書」では、今後、修業年限が延長された際に追加が必要だと指摘された教育内容の例として、「診療室のチェアサイドでの歯科技工士が歯科医師と連携し、より質の高い歯科医療の提供を可能とするために必要な、臨床に関わる幅広い歯科医学的知識やそれらに関連する内容」、「訪問歯科診療において有床義歯の修理等が必要な場合に歯科技工士が歯科医師に帯同することによって、より質が高く効率的な在宅歯科医療の提供が可能となるよう、在宅歯科医療に関連する内容」、「労働環境の改善等に取り組むことができるよう、経営関係や労務管理等を含む関係法規に関連する内容」等意見として明記されている。
 一方、後者(シグナリング理論)は、大学進学率が過去最高の54.4%(2020年度)となった我が国において、少子化を加味すればますます加速することは容易に想像される。その現状では可能な限り高い教育を希望するのは自然の流れであり、歯科技工士も教育年限が延長されればより優秀な人材が業界に集まり、その将来を担ってくれるであろう。しかし、年限が延長されただけでは人は集まらない。教育に見合った賃金体系の整備も必要である。そこで、日本歯科技工士会は、歯科技工士がさらに魅力ある職業となるよう、前提となる歯科医療提供環境や労働環境の向上等に取り組んでいる。これらの活動は全て会員一人ひとりの支えによって成り立っている。

 

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