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『日本歯技』2024年9月号巻頭言

『日本歯技』2024年9月号 巻頭言

革新 ―innovation―

 2016年、日本歯科技工士会は労務対策として「女性活躍推進委員会」を立ち上げた。女性が歯科技工士養成機関に入学する割合が増加しており、当時の入学者の男女比が6:4であったことから、女性歯科技工士が働く環境の改善が重要であると認識されたからである。
 しかし、十年を待たない2024年の全国歯科技工士学校協議会の資料によると、全国の入学者数は780名で、そのうち女性の割合は61.7%と報告され、特に関東および関西圏では女性が70~80%を占める養成機関も見られた。男女比率がこれほど早く逆転するとは予想外であったが、女性入学者の比率が急速に増加していることは明白である。
 一方で、歯科技工士の就業者数の減少が課題となっている。この問題の要因として、養成機関への入学者数の減少だけでなく、有資格者の離職率の高さも挙げられる。養成機関においては女性の学生割合が高いことから、業界としては女性の雇用形態を迅速に見直す必要がある。
 近年、ジェンダーレスが叫ばれているが、国内では出産以外にも育児や介護、家事などを主に女性が担当し、依然として女性は男性よりも多くのライフステージ(例えば育児や介護などの役割を含む)を持つ現状がある。そのため、女性が長期間にわたり歯科技工士としてキャリアを築くことができる環境を早急に整えることが重要である。
 歯科技工界も他の業種と同様に人材不足が懸念されているが、幸いにも急速なデジタル化やリモートワークの普及により、働き方の選択肢が広がっている。この状況をチャンスと捉え、産休・育休・介護・残業といった課題や、職場におけるハラスメント問題にも真摯に向き合い、雇用者と被雇用者の両方が働きやすい職場環境を再構築するために、経営者向けの研修会や管理者向けの講習会などを開催する必要があると考えられる。
 新しい執行部のもとでこれらの課題解決を推し進める中で、歯科技工界に関わるすべての人々の意識を革新し、新たな歯科技工のステージへ向けて歩んでいくことが切に願われる。
 

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