公益社団法人日本歯科技工士会

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『日本歯技』2020年6月号巻頭言



感染症の今を考える

 中国湖北省武漢市に端を発した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、東京オリンピック・パラリンピックの開催1年延期を始め、現在、このウイルスはパンデミックを起こし脅威となっている。この1mmの100万分の1単位の微生物は、細胞はなく、他の細胞に入り込んで生き、生体に侵入するとその細胞内で自分のコピーを作る。そして細胞から多くのウイルスが飛び出し、増殖・伝播していく。
 人類はこれまで、中世のコレラや、近年ではSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)を経験した。今回の新型コロナウイルスの感染経路は接触感染に加え、咳やくしゃみで飛び散った飛沫を吸い込むことにより感染する飛沫感染性が顕著である。そのため閉め切った室内等では、空気中を漂うウイルスを吸い込むことにより感染する「空気感染」にも似た状況が報告されており、密集・密閉・密接の「3密」を避けることが求められている。
 私たち歯科技工士は、患者に直接触れることがなく、臨床の場に立つ機会は少ない。しかし、手指の暴露部や呼吸器を介す危険が明らかであり、水平感染を防ぎ、医療環境を守る責務がある。そこで日本歯科技工士会は、2002(平成14)年度から「感染症予防歯科技工士講習会」を継続実施してきた。この研修で体内に侵入する接触感染のウイルスや細菌など病原性微生物への感染予防が不可欠であることを学んだ。また、職業リスクを家庭に持ち込まず、衛生的手洗いを励行し、作業中は腕時計・指輪を装着しない、白衣等専用作業着の着用、作業台上での飲食・喫煙の回避、呼気による切削屑の吹き飛ばしの習慣はやめる、スマートフォンやパソコンのキーボードの除菌等々への配慮も当然である。
 緊急事態宣言が出されたこの瞬間でも、命を守る最前線に立つ医師や看護師、感染リスクのある中で様々な社会インフラを支える多くの方々に感謝するとともに、今後、このコロナ禍を踏まえた「新しい生活様式」が求められる中、歯科技工士も社会の構成員としてその範を示していかなければならない。

 

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