公益社団法人日本歯科技工士会

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『日本歯技』2019年6月号巻頭言



職能団体は誰のための団体か

 平成28年度歯科技工士国家試験では初めて合格者が1,000人を割り、現在でもその状況は続いている。新卒者が減少する職能団体は会員が高齢化し、自然と入会者より退会者数が多くなる。一般的に組織率が低下する理由は他にもあるが、そのような職能団体は対策が必要となる。
 平成29年4月、日本医師会の「医師の団体の在り方検討委員会」は、「行政からも独立した、医師全員が加盟する団体が必要である」と提言し、会員の中でも賛否が分かれている。過去には明治憲法下で、医師会、歯科医師会、薬剤師会など多くの公共的な専門職能団体が強制加入となっていた。これは、その職業の公共性、倫理性が強いため、同業者間の自主的規律による職業倫理の維持が必要だったことと、国家による監督・取締まり上それが有効と考えられたため1)とされているが、戦後になり弁護士会などわずかな職能団体を除いて、多くの組織の強制加入制は廃止された。
 医師の監督官庁は厚生労働省であるが、強制加入である弁護士の監督官庁は存在せず、資格審査や登録、懲戒(指導、連絡および監督)を弁護士会の自治に任され、その責任も負っている。これは社会正義を実現し、基本的人権を擁護するといった職務上、国と対立する場合も、懲戒権の行使等を恐れず職務を全うするためであると考えられている。このような特殊な理由を持たない職種団体の強制加入制への移行はかなり難しいものと思われる。
 では、加入が任意な団体は本当に自由なのだろうか。職能団体の活動は一般的に、学術、会員の交流、社会的地位の向上が柱となっている。自己の専門性の維持・向上や交流は職能団体に入らなくても多少は可能かもしれない。しかしながら、社会的な責務を果たし、専門職としての待遇や利益を保持・改善することは、職能団体にしかできない。よって職能団体は、その資格を持つすべての人のための団体であるといえる。であるならば、その資格を持つすべての人は、その職能団体を支えなければならない。自分たちのために声を上げる団体は他にないのだから。
 
1)柳沼八郎・椎木緑司「各地の弁護士会―その現状と課題」(大野正男編『講座・現代の弁護士2 弁護士の団体』,日本評論社,1970)
 

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